【江戸村沙樹の殿堂入り】

 俺は子供のころから、テレビゲームってヤツには嵌まらないで育った。『スペースインベーダー』が小学校4年生くらいだったかな? ゲーム電卓は持ってたけど、ゲーセンにゲームをしにいく子じゃなかった。中学、高校もゲーセンに行く金があったら他のものに使っていたし、まだまだゲーセンは「不良の溜まり場」のイメージが強く、健全な地方の学生である俺は内心ビビっていたのかもしれない(苦笑)。

 ファミコンも持っていない少年だった俺が大学に合格して上京し、まさに状況は一変した。周りのやつらが気軽にゲーセンに行っているのだ。一種のカルチャーショックだ。実際、俺のゲーム人生は20歳から始まったと言っても過言じゃない。そして80年代後半から90年代を駆け抜けていった俺のお気に入りゲームたち……。

 比較的メジャーどころで構成してみたけど、どうだろう?

※このページは、それぞれのゲームのBGMをCDで聴きながら書いている。ご参考までに。

 

『ストリートファイターII』シリーズ CAPCOM

 格闘ゲームというジャンルがあるのは知っていた。しかし、格闘ゲームはCPU戦じゃなくて、対人戦が主流。やってみたいけど、初心者がゲーセンにいれば練習どころじゃなくカモられる。何かいい方法ないかな……と思っていた矢先、格闘ゲーム(以下「格ゲー」)の先駆者・CAPCOMの『ストリートファイターII』がスーパーファミコンに移植決定! ここで俺は初めて自分専用のゲームマシンを購入する。スーファミはストII専用機……そんなヤツあんまいないだろう(笑)。豊富なキャラクタ、ひとり遊びも対戦プレイも楽しい設計、いま考えると簡単な必殺技コマンド……しかし、このゲームが後の10年間に与えた影響もまた大きかった……。


『龍虎の拳』シリーズ SNK

 格ゲー大阪の陣。覇者CAPCOMを追うNEO-GEOシステムのSNKは、格ゲー以前のストリートファイトゲーム『ファイナルファイト』(CAPCOM)をパクって『餓狼伝説』を、『ストリートファイターII』をパクって『龍虎の拳』をアーケードに放つ。

 俺はこの『龍虎の拳』が大好き。リョウ・サカザキという「無敵の龍」は見た目明らかにストIIのケンなんだけど、「気力を溜めないと必殺技が連発できない」をいう「気力システム」による緊迫感、そして気力ゲージ満タンで放つ(当時としては)複雑なコマンドを使って撃つ覇王翔吼拳の弩迫力、さらに格ゲー界に「隠し超必殺技」概念を植えつけた究極のガード不能技、龍虎乱舞! はああ、かっこええ〜!

  リョウの人気は高く、後に『餓狼伝説スペシャル』で隠れボスとして異種格闘技戦に参加、この流れが現在もリリースが続く人気シリーズ『K.O.F.』へと続くことになる。

 でも龍虎乱舞がガード不能技じゃないゲームは駄目! 龍虎ファンは『龍虎の拳2』までしか認めない! でもリョウのテーマは「Art of fight」のままにして欲しかった……本当は藤堂龍白ステージのテーマなんだけど(笑)『餓狼伝説スペシャル』のときのアレンジが大好き!

 

『サムライスピリッツ』シリーズ SNK

 SNKは夏の大作として『餓狼伝説スペシャル』を発表していた。このゲームは過去の餓狼伝説シリーズのキャラクタを総動員できるお祭り的内容で、ギースもクラウザーも敵四天王も操作でき、さらに条件を満たせば別ゲームのキャラである「無敵の龍」と戦えるという、当時のSNKマニアにはたまらない内容だった。

 しかし、SNKはここで思わぬ読み違いをする。格ゲーがどれだけ社会現象化しているのか把握できていなかったのだ。

 輸出をメインにしたデザイン、簡素な必殺技コマンド、チャンバラという格ゲーの流れから外れた内容。『餓狼伝説スペシャル』遅配の穴埋めに市場に出されたこのゲームが、SNKを狂わせてしまう。

『サムライスピリッツ』……同人会に「ゲーム同人誌」「ゲームコスプレ」を定着させた立役者。 キャラクタ人気とゲームバランスが一致しない怪作ながら、やっぱりいいですわ。続編から複雑コマンドの「超必殺技」系がどばどば出てきてしまったのでちょっと辛かったんだけど、本来はシンプルイズベストなゲーム。

 俺はこのゲームのためにNEO-GEOとROMカセットを購った。ここから俺のタガが緩んでいく。

 

『フライングパワーディスク』SNK・データイースト

 NEO-GEOがこんなに市場に出るなんて、SNKも考えてなかっただろうと思う。ROMカセットは業務用とほぼ同じ作りなので大量生産には向かないし価格も高い。で、各社から出ていた家庭用ゲーム機にCD-ROM搭載機が増えてきて、SNKは一つの冒険に出る。

 ROMカセットは高い。でも容量だけ言えば、CD-ROMのほうが大容量である。他社の8ビット機に移植するなんて手間より、自社でCD-ROMマシンを出してしまえ!

  こうして迷機NEO-GEO CDが発売される。確かに定価で2万3万するROMカセットを何本も購うなら、4万出してNEO-GEO CD購ってもCD-ROMソフトが6,000円程度で手に入ればすぐにペイできる!

 しかし、ここに大問題が発生する。ROMカセットが勝れていたのは、そのゲームがスムーズに動作できるRAMを内臓していたからであり、CD-ROMはRAM領域を持っていない。NEO-GEO CD本体が持つわずかなRAM領域でしかゲームを再生できないのだ。格ゲーはRAM喰いであり、素早い動きが信条だ。NEO-GEO CDに移植された格ゲーの総てが、このRAM領域不足に泣いた。読み込みが異常に遅いのだ。これでは本当に「100メガ・ショック!」だ(泣)。

 そんな中、ROMカセットを購うほどではないがスーファミやメガドラとは違ってアーケードと同じ絵・同じ曲・同じ動きで我々を楽しませてくれる良質のゲームもあった。

 その中でも最高だと俺が思っているのが、デコの『フライングパワーディスク』だ。

 簡単に言うと、対戦型テーブルテニス。互いのプレイヤーがフリスビーを飛ばし、相手のゴールに入れるか、相手がフリスビーをキャッチしそこねると得点。単純なゲームだが、対戦は熱い。壁面のバウンドを使った軸線変化や微妙なカーブコントロール、たまに撃つロブや相手をゴールの中までフリスビーごと叩き込む必殺技まで……こういうゲームって今ないなあ。

 

『バーチャファイター』シリーズ セガ

 俺がゲーセンで金をつぎ込んだ、おそらく最も額の高いゲーム(笑)。200円のころからゲシゲシやってたもんなあ。

 最初の、木彫りの人形同士がどつき合うヤツも大好き。3Dで動くキャラクタが、ストレスなくするすると動く様は「時代はセガだなあ」と思わせたものだ。そして『バーチャファイター2』の登場で、ゲーマー全員が目を剥くこととなる。この臨場感はなんだ? この異様なまでの感覚はなんだ? そして、この爽快感はなんだ?

 冷房の効いたゲーセン内で、汗が噴き出るほどやり込んだっけ。鉄山靠にこだわっていた俺は池袋で対戦中にもたついていたらあっという間に画面端でボコられ、むかついて相手を観たら池袋サラだった、なんて思い出もあったりして(笑)。

 サターンを購ったのは、バーチャがやりたかったから。

 

『リッジレーサー』シリーズ ナムコ

 レースゲームってあんまり興味なかったんだけど、このシリーズは完全に音楽にやられた。かっこいいんだもん。ヨーロピアン・レイヴの音に任せながら架空の都市を爆走するこの感覚。ナムコの底力を感じたね、このシリーズからは。

 プレステを購ったのは、リッジをやりたかったから。でもゲーセン版『レイヴレーサー』の完全移植はついに来なかったね……音楽はレイヴが一番好きなのに……。

 ちなみに『RIDGE LASER』CDを聴きながらクルマを運転しないこと。実際のクルマはあんなドリフトしないから(笑)。危険だから絶対にマネしないでね!

 

『子育てクイズ マイエンジェル』ナムコ

 ゲーセンにはいろいろなゲームがある。ひとりで行くときにやるゲームと、仲間と行くときにやるゲームは違ってくるもんだ。暇つぶしに最適なのが、コイン連チャンすればラスまで観られるクイズゲーム。こんなジャンルのものはめったに移植されなかったのだが、時代はプレステ、何でもあり。中でもその「萌え度」が高いと思われるのが、「クイズに答えてムスメを育てる」親心とヲタク心の両方をくすぐる『子育てクイズ マイ・エンジェル』だろう。育て方を間違えると将来ヲタクになってしまうので、育て方(クイズの答え方や分岐)には細心の注意が必要。でも俺が育てると十中八九ヲタクになる(苦笑)。突然「あたし、声優になる!」とか言い出されても……(泣)。

 

『電脳戦機バーチャロン』セガ

 今も人気があるロボットバトルゲーム。ガンダムデザイナーのカトキハジメを使っての、コックピット感覚あふれる傑作。でもやっぱり操作が難しいなあ。俺のゲーム熱はバーチャロンあたりでがくんと低下し、部屋に残されたスーファミ、メガドラ、PCエンジンDUO、プレステ、サターン、NEO-GEO、NEO-GEO CDたちはほとんど使われなくなっていく……。

 

『ダンス・ダンス・レヴォリューション』シリーズ コナミ

 数年のブランクの後、ゲーセンは様変わりしていた。音ゲーってなんだ? ゲーセンで踊る! この非常識なセンスにまさか俺が乗せられてしまうとは……今でもたまに踊りに行く、一種の麻薬みたいなゲーム。うちみたいなマンションじゃプレステ版できないし。音楽ゲームの末恐ろしさを経験。CDが増える増える! 個人的には2nd MIXが最高峰。3rd MIXが体力的にも感覚的にも限界値。大会の予選とかに出ていた当時の自分がちょっと恐ろしく思える……。

 

『スペース・チャンネル5』セガ

 このゲームをやるためだけに……「またかい」とか思わないように。ドリキャスはタダでもらった(笑)。こうして羅列してみると、俺って意外なくらいにゲームの音楽にこだわってるのね。スペチャンもやっぱり音楽が最高。

 

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