【こんなゲームをやった】

フライングパワーディスク

データイースト・SNK

NEO−GEOシステム(ROMカートリッジ版・CD版)

by江戸村沙樹

 

 俺はどうも巷では「格ゲーしかやらない」との誤解を受けているらしい。
 いや、そんなことはないぞ。
 ただ、メインマシンがネオゲオだったから、購入のメインが格ゲーだったに過ぎない。
 サターンを導入し、プレイステーションを導入した今、俺とてノン・ジャンルなゲーマーなのである。
 しかし、あえてネオゲオのゲームを買う。
 なぜか。
 次世代ゲーム機といえど、ゲーム自体が面白くなくてはお話にならないと思うからだ。
 自分が腹を痛めて金を出すのだ。それなりに面白くなくては割りが合わない。
 スーパーファミコンのソフトは「メガヒット」か「クソゲー」の二者選択だ、というのはよく聞く風評である。
 だとすれば、ネオゲオのゲームは「五割がスマッシュヒット」であると言えよう。
 ネオゲオのゲームのいい所は、ゲーセンで試せる、ということである。
 あの、いくら貰ってるかは知らぬが、えーかげんなゲーム雑誌の批評に騙されることなく、自分の手で眼で確かめることができるのである。
 そして昨年、ネオジオCDが発売された。確かに、でかくて重いプログラムを展開するにはあまりに非力なマシンだが(それこそ格ゲーを中心にプレイするユーザーには決してお勧めできない)、そうでないゲームには最適のマシンと言える。
 何せ、ネオゲオソフト最大のネックであった価格面が、大きくユーザー寄りになったのだから。
 ネオゲオのROMカセットと言えば、最近は29,800円まで来てしまい、ほとんどブルジョワゲーマーのものとなっていた。どんなに面白いゲームがあっても、そうそうホイホイ買える価格ではない。
 それが、5,000円前後で買えてしまうのだ。なんて素晴らしい。スーファミのソフトより安いぞ、マシンは三倍の価格だが(笑)。
 そして、ここに「カセットで2万出す気にはならなかったけど、いつか絶対中古で買ってやるう!」と心に誓ったソフトが、よもやの移植で帰ってきたのだ。
 フライングパワーディスク(以下「FPD」と略す)。簡単に言ってしまえば、テレビゲーム黎明期より存在するテニスゲームを横にして対戦型にしたようなものだ。
 ルールは単純。一対一のディスク(要するにフリスビー)キャッチゲーム、相手の背後にあるゴールにディスクを入れられたら得点(3点ゴールと5点ゴールがある)。キャッチに失敗してフィールドにディスクを落とすと2点献上。25点先取、もしくはタイムアップで勝敗を決する。2ポイント先取で勝ち抜けである。
 こういった単純でスピーディなゲームは、はまってしまうとなかなか抜け出せない。しかも、またこれが対CPU戦のみならず、対人対戦が大変燃える! のである。
 ディスクの速度はかなり早い。FPDでは、瞬間的な判断力が必要になる。また、一定条件で必殺シュートを繰り出すことも可能だ。必殺シュートは曲がりくねるものあり、上空を飛び越えるものあり、キャッチしても相手ごとゴールに叩き込むパワーシュートあり(!)と、テレビゲームとしてのダイナミックな演出も心得たものだ。
 また、FPDの必殺技は格ゲーのそれと違い、諸刃の剣である。相手に受けられたら最後、全く同じ威力の必殺技を返されてしまうのだ。さすがデコゲー、やってくれるぜ!(意味不明)
 スポーツゲームとしては単純明解、反射神経に自信のある方には最適のゲームです。今、ゲーセンにないのが残念なほど。さあ、そこの貴方! ネオジオCDを買って、FPDにレッツ・トライ! 虜になること請け合いでござる。

1995.02.06

 

オールレンジレヴュー「こんな……」にもどる