……くるうりくるり。
ひたすらに回る。
頭上からひらりひらりと舞っている紅葉に合わせて踊るかのように。
くるうりくるり。
ひらぁりひらり。
回るたび、着物の裾がふわりと広がり、つられて地面に落ちた葉が心持ち遠慮するかのようにそっと動き、また地面に戻っていく。
背中で切りそろえられたしなやかな黒髪が、落ちてきた葉っぱを絡めとり、また中空に解き放っていく。
──やがて回っていた少女は、敷き詰められた紅葉の敷物の上にばたりと倒れこむ。勢いで舞い上がった葉、新たに落ちてきた葉が彼女の上に降り注ぐ。
大きく手足を広げたまま、しばらくじっと寝転がっていた。
藍色の袖や裾が、じわりじわりと紅に浸食されていくがまま。
少女は凝っと、空を見つめていた。紅葉の色を引き立てるような、真っ青な空。
いや、空を見つめているようで、その瞳には何も映っていなかった。虚ろで空虚な、瞳。
やがてそこから一筋、こぼれたもの。
頬を伝い、首を伝い、やがて地面に吸い込まれ、消えた。
流した涙の行方など気にする風でもなく、ふうっと息を吐きだし、覚束ない足取りでまた、立ち上がる。
身体にまとわりついたままの紅葉を気にすることもなくまた、回り始めるのだ。
くるうりくるり。
ふうわりふわり。
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