■■■同人誌を作ろう2003■■■

 2003年初夏。必要に迫られてとは言え、久々にアナログ印刷同人誌を出版することになった。

 それもこれも、ヨメがみーんな悪いのだ。ヨメがまんが大会の申し込みをしてしまったからいけないのだ。まだ当落通知が来ていないからいいものの、これでもし当落通知に「当選」と大書されていたら、小生は『人形使い 2』以来のアナログ印刷同人誌を作らねばならなくなる。

 オンデマンド出版同人誌『人形使い 2』(2000年12月27日発行)は、本サイトに好評掲載中のリレー小説『人形使い』の印刷バージョンで、本来の小説の読みやすさを考慮したA5判縦組み2段の同人誌だった。PowerMacintosh 7100/66AVとQuark Xpress 3.3でDTPデータを作成し、QMS860 PSレーザプリンタからダイレクト印刷されたものを手折り・ステープラ止めし、表紙はCanon BJ360で出力したインクジェット用紙を両面テープで貼るという「究極の少部数オンデマンド同人誌」だった。限定20部でまんが大会にて発売され、好評即完売となっている。

 小生は、この「レーザプリンタからアウトされた用紙をそのまま同人誌として使う」オンデマンド同人誌という体裁が大好きで、この形を完成させるために今までMacintoshに巨額の投資をしてきたと言っても過言ではない。過去にこの形式で『人形使い 1』『たっくの大冒険』『タコトクトイス』『丸元式(仮)』『テッコンV』と、計6冊のオンデマンド同人誌を20世紀内に出版してきた。

 時代がインターネット配信に傾き、投資額が少なく情報の発信できるWWWという形式に惚れ込んだ小生は、自身の金欠という目も覆わんばかりの困難もあって、オンデマンド同人誌の作成を中断する。と同時に、これまた金欠を理由にまんが大会を「卒業」してしまう。

 時は流れて、2003年。最後に『人形使い 2』を出版してから、2年半の月日が流れる。Mac OSは8.xから10.2.xに、 マシンはPowerPC601 66MHzからG4 733MHzに、DTPソフトウェアはQuark Xpress3.3からAdobe InDesign2.0に、接続はシリアルからUSB、FireWire、LANに。時代は変わっていく。確実に変わっていく。

 そして、小生は途方に暮れる。20世紀のやりかたはもう通用しない。しかもムスメが大きくなった今、20世紀のころのようにMacに湯水のごとく投資をすることもできない。このままでは「21世紀の理想のオンデマンド同人誌出版」が危ない!

 2003年6月3日。小生はやっぱりまんが大会に参加することとなってしまった。当選通知が届いて、さあ大変。慣れていないDTPシステムでどこまで突貫で作業ができるのか?

 2003年7月5日、我が家に先進的DTPモジュールが届く。A4フルカラーレーザプリンタ、沖データMICROLINE5300。Mac OSX対応のPostScript3互換機で、プリンティングテストの結果は上々。InDesign2.0とMICROLINE8wUの間で起こっていた「マッチング問題」はこれで完全に回避される。役者は揃った。

「どじつく」は、そんな小生──Project T.A.C.主催にしてDTP同人誌オペレータである他故壁氏の、格闘と挫折と汗と涙と根性と懺悔の記録である。敬称略。

 

必要に応じて戻る■■■必要に応じて進む

【どじつく】トップに戻る