・おまけ?

 

・拍手・ブログなどで置いておいたもの(基本本誌読んでて吹き出した妄想)のもったいないので置いておくか、みたいな。
なので一度読んだことある人はごめんなさい。
そのうち拍手以外の何かが増えてくかも。

一週間限定で公開していた『パンドラ・リターンズ』(1)と(2)の間を埋めるネタ(激しく妄想)
※なんで限定だったかは読めば判るかと。二人付き合ってる設定。

『パンドラ・リターンズ』(2)と(3)の間を埋めるネタ(妄想)
※二人付き合ってる設定。

『桜の園』(2)が掲載された時の吹き出したネタ(超妄想) NEW!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一週間限定で公開していた『パンドラ・リターンズ』(1)と(2)の間を埋めるネタ(激しく妄想)

 

 

 皆本は車の中で指示を出すとのことで残って、賢木と紫穂だけがパンドラの手がかりがあるという階へ向かうことになった。
 エレベーターを待つ間、紫穂はしみじみと呟いた

「センセイと二人っきりで仕事だなんて、びっくり」

 そうだな、と言いながらちらりと賢木は横を見る。紫穂が左手に持っているのはいつも愛用してる銃。右手には皆本から奪ったブラスター。それをみつめ一瞬眉をひそめる。

「紫穂、本当に大丈夫か?」

 ん? と紫穂が視線を絡めてくる。

「大丈夫」

 言葉にかぶるようにエレベーターの到着を告げる機械音がエントランスに鳴り響いた。
 まさかの事態を想定し、銃を構える二人。しかし開いた箱の中には人の気配はなかった。ふっと緊張を解き、揃ってエレベーターに乗り込んだ。 目的の階のボタンを押したあと、賢木は壁に寄りかかり紫穂を見遣る。するとばっちりと目が合った。
 彼女はニッコリと笑う。一瞬任務中だということを忘れるくらいの、愛らしい微笑み。

「さっきの返事だけど」

 その笑顔のまますっと賢木の横に近づいてぎゅっと腕に絡んできた。

「私は大丈夫よ。だってこうしてセンセイと一緒に仕事をしているってことは、何かあったらセンセイが守ってくれるって信じてるからっ」

 紫穂から流れ込んできた思考も全く同じことを告げていた。
 自分に全幅の信頼を寄せている彼女が愛おしく、ぎゅっと腰を引き寄せ、軽く口づける。

「……ん、もう。こんな状況で何してるのよ」

 唇が離れると紫穂がぷくり、と頬を膨らませた。ふふふ、と不敵な笑みを見せ、持っていたブラスターを突き付けてくる。

「紫穂さーん、それはさすがに怖いんですけど」
「こんな時にイチャイチャしたがるセンセイが悪いのよ」
「だって可愛かったからさ」

 正直に想いを口にするとパッと顔が赤くなる目の前の彼女。

「……さっき皆本さんにしたみたいに耳に息吹き掛けるわよ」
「おう、いくらでもやってくれ。ただしこれが片付いたらな。──着くぞ」

 急に顔を引き締め、身体中に緊張を走らせた賢木に、紫穂も神経を尖らせながら、心の中で呟く。
 ……ずるい。
 いつもへらへらしてる時と仕事の時の違いが激しくて。
 それがすごくカッコいい、だなんて。
 何かあったときに自分を庇えるように、と肩に置かれた手の暖かさに、ホッとしながら銃を構えた。
 と同時に、エレベーターが目的階に着いたのを電光表示が告げる。

「……行くぞ」
「うんっ!」

 そして二人はエレベーターから飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『パンドラ・リターンズ』(2)と(3)の間を埋めるネタ(妄想)

 

 

 その場で、一番最初に目を覚ましたのは、賢木だった。
 
(……ここは?)

 一瞬、状況を把握しきれなくてうすぼんやりと開けた目をさまよわせながら、さっき起きた出来事、そして今現在自分がおかれている状況を把握しようとする。
 ──えっと、パティとやらが実体化しようとしているところに紫穂がスタンガンを突きつけて、パティの能力が暴走して──
 そこまで思い出して、倒れていた身体を勢いよく起こす。
 真正面には友人の硬化した姿、横には怪しげなポーズでやはり固まっているマッチョ、その傍で倒れている金髪、そして少し離れている所には──。
 ようやく見覚えのある制服の色を見つけ、賢木は一目散にそちらへと近寄った。
 スタンガンを握りしめたまま、気を失っている彼女。倒れ伏していた身体をそっと起こし、そばにあった壁面に寄りかからせる。怪我はないかと透視ようとし、そこで初めて異常に気がついた。

(能力が使えねぇ……)

 おそらくパティの暴走に巻き込まれたためだろう。そう判断し、賢木は今度は医者の目で紫穂の無事を確認し始めた。
 吹き飛ばされた際に脳震盪を起こしただけらしく、瞳孔などを観察した限り脳などには異常は見られなかった。
 身体の方は怪我なんかしてないだろうか、とざっと身体に視線をめぐらせ……、ある一点でぴたりと止まる。太もも、ちょうどスカートとニーハイソックスとの間、何の布にもガードされてない部分になにやら傷があった。しかも擦過傷などではなく、何かが刺さっているのが伺える。
 早目に刺さっているものを取り去らないと入り込んだら危険だ、と医者としての自分は警告しているのだが、オトコとしての自分は、寝ている紫穂の足、しかも生足に触ってしまっていいものかと逡巡した。
 だがそれは一瞬のこと。そっと足に触れ、出来るだけ傷が広がらないように丁寧に刺さっているものを取り除いた。
 ……能力が使えなくても判った。マンションでやりあった際にあの少年が能力で破壊したブラスターの破片だ。

(紫穂に傷つけやがって……)

 賢木は自分の背後に転がっている少年に対し殴りかかろうとして思い留まる。それどころではない。彼女への手当てが最優先だ。
 急いでジャケットのポケットから常に持ち歩いている消毒薬と脱脂綿を取り出し、手早く消毒を済ませる。
そして、傷の傍に素早く口づけをひとつ。それは早く治るようにとのおまじないのつもりだったのだが、唇で触れた肌のあまりの滑らかさに理性のタガが外れかけ、このままもっと辿っていきたい、そう心の奥から本能が呼びかけてくる。誰も今なら見てないし、もう少し……と考え始めたその時。

「……う……ん」

 頭上から紫穂の小さなうめき声がした。はっと、賢木は我に返る。いかんいかんと、盛大に首をぶんぶん横に振って今心に浮かんだ邪な考えを追い出した。頭を冷やすべく外に向かおうとし、そういえば、とあわてて明るい方向へと足を運んだ。
 紫穂のことが気になりすぎて、現在おかれている状況にまで頭が回ってなかったようだ。そもそも自分たちが倒れていたところはごつごつした岩肌だった。明らかにあのマンションではない。
 ようやく夕日が差し込む大きな入り口に到達し、その場で小さく息をのんだ。しばらくして嘆息し、元来た方へと引き返す。歩きながら通信機器を取り出してみたが、案の定壊れていた。無造作にポケットにしまい込みながら、思考を巡らす。
 今現在皆がおかれている状況を考えるに、こちらから打つ手は何一つない。誰かが探しにきてくれるのを待つか、あるいは皆の能力が回復するか、だ。となると残る道は。

(とりあえずあの小僧に一泡吹かせてやらないとな。紫穂の身体に傷を付けた代償は、大きいぞ)

 自分が倒れていたところに落ちていた銃を拾い上げ、少年の死角に回り込み、彼が目を覚ますのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『桜の園』(2)が掲載された時の吹き出したネタ(超妄想)

 

 

(ほんと、センセイってばなんだかんだで人付き合いがいいのよね)
 皆本がふらふらしながらもちゃんと自分の意志で歩いていることを確認し、ちらり、と向こうの大人のたまり場の方に目線を向ける。
 真木と葉にに挟まれ勢いよく酒を飲んでいるの顔色が、あまりよくないのが見て取れた。
 あーあ、どうするのかしら、なんて思っていたらいきなりふらりと立ち上がり、よろよろと歩いてひとけのない方に向かっていく。
「葵ちゃん、ちょっと生理食塩水もってこっち来て」
 その一言でなにがあるかを葵は察してくれたようだ。
「ほいきた。んで、当の本人はどっちなん?」
「あっち。なんかひとけのない方に歩いていったから、歩いて酔いを醒ますつもりみたい」
「アホやなー。あんだけ飲んどったらそれだけで治るはずないやん。いこ、紫穂」
「薫ちゃん、ちょっともう一人だめな大人がいるからそっちに行ってくるね」
 皆本の後ろをちょこちょこ心配そうにくっついている薫に一声かけ、紫穂と葵は葵のテレポートで賢木のところに向かった。(あ、いたいた)
 広いロビエト大使館の隅っこ、なんだか建物だけが桜の美しさを知っているのよ、と言わんばかりの隅っこで、賢木が建物の植え込み部分に座って空をぼーっと眺めているのをようやく見つけ、気づかれないようにそっと近寄る。
 いつもであれば簡単にバレてしまうのに、今日はひどく酔っているためか、だいぶ近づいてもこちらを見ようとする気配もない。
「──葵ちゃん」
 建物の陰に隠れながら賢木から1メートルくらいのまで近づき、小声で葵を呼ぶと、彼女は心得たと言わんばかりに一つ小さく頷き、そして能力を発動させた。
とは言っても生理食塩水を体内にテレポートされて気づく人間は滅多にいないと思うのだが、それはそれ。
 まあ、皆本さんみたいにひたすら飲む、ってわけじゃなくて、一緒にお水も飲んでたみたいだししこれくらいで大丈夫かな、とそっと触れようとした時。
「……ん?」
 ようやく二人の存在に気づいたようで、賢木が緩慢な動作で振り返ってきた。
「やばっ!」
 葵はテレポートでひゅぱっと逃げてしまう。
「ちょ、葵ちゃんってば……!」
 置いていかれてしまった紫穂は、照れくさそうにほっぺを掻きながら視線をそらせつつ、つぶやいた。
「──センセイまで皆本さんみたいに酔ってたら大変だと思って、葵ちゃんに頼んでセンセイに教わったとおりの処置を施しただけよ。なぁんもやましい事してないんだからねっ」
 すると。
 ぽすん、と頭に何かが乗った気配がした。暖かくて、大きなもの。それが賢木の手だと気づいて紫穂は思わず赤くなった。
「……ありがとな」
 ぽふんぽふんと頭を撫でながらの賢木の素直な謝辞に、ますます頬が赤くなってしまう。が、酔っている賢木はそれがどうしてかまでは気にしていない様子だった。
「珍しいわね、素直にお礼が言えるなんて」
「酔ってるからなー」
 紫穂のイヤミにも動じる(というか気にしてしない)気配もなく、賢木はにっこりほほえんだ。それがいつも皆本にだけ見せるような素直すぎる笑顔で、どう対応したらいいかわからなくて、視線が泳いでしまう。
「で、さ。迷惑ついでにちょっともう一つお願いがあるんだけど」
 紫穂の頭から手を離し、賢木はおいでおいでをしながら紫穂に話しかけてくる。疑問に思いつつも1歩踏み出してより賢木に近づいた途端、不意に手を引っ張られた。
「え……っ!」
 不意打ちなので当然紫穂はバランスを崩し、賢木の横に座り込んでしまう。
「ちょっと、なにするのよっ」
 うろんげな視線を向けると、でへ、と賢木はまたも相好を崩す。
「んー、ちょっと、な」
 言いながら、ふらりと上体を揺らしたかと思うと、次の瞬間にはぼすん、と紫穂の太股の上に頭を預けてきた。
「……ちょっ!」
 あまりのことに驚いて叫び声をあげたけれど、賢木はいっかな気にした様子もなく、微動だにしない。
「ちょっとセンセイ……?」
 軽く揺すってもなんの反応もないので覗いてみれば、なんと頭を預けてから1分も経ってないのにもう既に眠りについていた。
(よっぽど眠たかったのね……)
 思わずくすりと笑いがこぼれてしまう。いつもだったら有無を言わさずに滑り落としてしまうのだけれど。
(でも、この寝顔じゃね……)
 滅多に見せないような、きっと皆本もあまり見たことがないような安心しきった寝顔が微笑ましくて。
(じゃあ、せっかくだから私も一人ゆっくりお花を楽しもうっと)
 そっと乱れた前髪をかき分けてあげて紫穂が空を見上げると、ひらり、と花びらが一枚目の前をくるくる舞いながら落ちていった。

 

 

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